草舟座右銘

第11回「天と地と無と ―創造のはらわた―」展

展覧会パネル文章

天と

 虚空が迫って来る。それは、無限への放射を終えて、いま凱旋するのだ。
一つ目の男が、それを見つめる。神殿の奥で、その目は永遠を凝視しているに違いない。天空の鳥居が、最後の舞踏を繰り広げるとき、ひとつの戦いが終わるだろう。きょうも、平野は「神聖」を見つめているのだ。生命の悲哀を葬るかのように見える。ここにこそ、戸嶋絵画の葬送の調べがあるのだ。

地と

 聖なるものには、神秘がある。神の涙が、そこに潜んでいるに違いないのだ。カルメン・デ・ラ・ヴィクトリアの悲痛が、戸嶋靖昌の脳髄を打ち砕いている。ここには、グラナダのあの発祥がある。そして、ひとつの生命の終焉がある。戸嶋は、ただ哭いているのだ。

無と

 無が、分泌している。人間の精神が立つとき、虚無もその姿を現わすのである。何ものでもないものが、この世に出現するのだ。我々は、それを無と名付けた。名付けることによって、その存在が人類に向かって分泌されたと言えよう。無が立って、我々は文明を始めたのであろう。
執行草舟
  • 〈展覧会 案内葉書〉「寒い日の運河」 平野遼 画
  • 〈展覧会イメージ作品〉「裂」山口長男 画
〈展覧会名〉
第11回「天と地と無と ―創造のはらわた―」展
〈会期〉
2015年2月2日~5月9日
〈概要〉
天空の見えざる蒼に、赤の滲む大地は哭いている。黄色の虚無が創造の始まりへと誘う。草舟コレクションでは、天地の循環するエネルギーを受けとめ、はらわたで創造を成した画家たちの、生命(いのち)あふれる作品が多く収蔵されています。瞑想の中で天空を求めた平野遼、大地に足を踏まえて闘い続けた戸嶋靖昌、虚体から実体を描いた山口長男など、これらの画家たちの魅力的な作品を、「天と地と無と」という主題で展示いたします。

ページトップへ