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第38回「剣と花」展

剣と花 展覧会パネル文章

花に愛でられる剣が、この世にあるのだろうか。日本の剣は、それをこそ、この地上に実現したのである。日本の剣は、花を呑み込む「何ものか」をもっている。それは精神の雄叫びであり、また人間のもつ涙の雫とも言えるものだろう。その剣は、人を斬るために造られたのではない。神の意志を、人の魂へ向かって放つために造られたのだ。歴史において、剣は民族の中に神が宿る過程として生まれた。だから我々の剣は破邪の剣であり、また自己滅却の剣として発展したのだ。その美しさは、ただ崇高という言葉しか当てはまらない。我々の剣は、武器のもつ美しさではない。それは人間の魂から滴る涙のもつ美しさだ。だからこそ、日本の剣は自己のもつを切り裂く剣と成ったのだろう。この剣をもって、多くの日本人が自己の腹を切り裂いて来た。自分の誠を示すために、日本人は剣を自己の腹に突きてて来たのだ。
執行草舟
  • 〈展覧会 案内葉書〉御守刀 月山貞利 作
  • 〈展覧会イメージ作品〉憂国 三島由紀夫 書
〈展覧会名〉
「剣と花」 展
〈会期〉
2024年12月10日(火)~2025年3月22日(土)
〈概要〉
この度、「剣と花」展と題し、800年の歴史をもつ刀工月山家の月山貞利による刀剣ほか、山岡鉄舟、安田靫彦の書画ほか、武士道的な魂、また、その生き方を「花」のごとく体現した作品を一同に展示します。さらに、三島由紀夫の2025年1月の生誕百周年を記念し、執行草舟に直に贈られた三島の書も合わせて展覧します。花と散った武士や国士、芸術に命を捧げた人物の魂を、執行草舟コレクションを通してぜひ感じて頂けましたら幸いです。

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