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第20回「みやびとあはれ」展

みやびとあはれ 展覧会パネル文章

 みやびとあはれは、日本民族の精神である。その精神が表現されたとき、そこには紛う方なき日本の美が顕現されるのだ。絢爛豪華にして、いまだそれに至り切れぬ切なさを我々の祖先は愛した。みやびと呼ばれる日本の美は、豪華さの中に潜む悲しみを見据えている。日本のみやびは、ひとつの悲哀を生み出すための輝きに他ならない。また日本民族は、枯れ果て老いさらぼえた残骸の中に、いまだ息づく生命の響きを見出していた。みやびの対極の中に、みやびに至ろうとして至れぬ「何ものか」を感じていた。命の残響だろう。我々の祖先は、その中にあはれを見出していたのだ。あはれとは、失われた故郷を慕う悔恨に違いない。わが民族は、理想の下に出発した。そして、そこに至ることの出来ぬ慟哭が、みやびとあはれという美の弁証法を生み出したのだ。
執行草舟
  • 〈展覧会 案内葉書〉「青柳か都良」 安田靫彦 画
  • 〈展覧会イメージ作品〉「白梅」 安田靫彦 画
〈展覧会名〉
第20回「みやびとあはれ」展
〈会期〉
2019年10月7日~12月7日
〈概要〉
日本精神の根底に流れる「みやびとあはれ」――。執行草舟コレクションの真髄を展示いたします。 この二つの日本的美は、過ぎたるを許さず、また及ばざるを嫌う。その間(はざま)には、血に沁み込む、日本人の誠心を必要とするのだ。それが無ければ、日本の文化としての真の美は、描けはしない。―― 草舟記

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